第51回 学習工学セミナー開催案内

   主題  主体的・対話的で深い学びとICTの活用U
            
 今年のゴールデンウィーク中に,ある県の小学校の先生から,小学校4年生理科の「電流」の授業でプログラミング的思考を養う実践について,相談にのって欲しいとのメールがあった。

 まずは、その先生から送られてきた指導案に対して10以上の質問をしたところ、 5月中旬まで,ほぼ毎日,互いに質問と回答を繰り返すこととなった。研究授業として構想された授業は,検流計をmicro:bitに置き換えて,Scratchで書かれたプログラムで電流の向きを判定させる学習活動が取り入れられていた。micro:bitにはADコンバーターが搭載されており,アナログの情報をデジタル化して計測することができる。回路の2箇所で電圧を測り,その数値の違いから,電流の向きをプログラムが判定し,マイクロビットのLEDで流れの方向を示すというプログラムを考えさせる計画となっていた。
 「micro:bitは何を測っているのでしょうか?」という質問をしたところ、その先生は,検流計をmicro:bitに置き換えたことによってまったく異なるものを測定する実験となることに気づき,単元構成から授業を大幅に変更することにした。電位差の概念を児童が理解していないとプログラムの判定結果が正しいかどうかを判断できないからである。

 そのメールのやりとりの中で,自分が大学1年生の時に受けたプログラミングの授業では,最初に,「コンピュータが出す答えは正しいとは限らない(誤差がある)」「バグが無いことを証明できないプログラムが存在する」ことを学んだことを思い出した。プログラミング的思考の育成の過程でコンピュータが出す答えが正しいかどうかを判断できる力を育成することが重要であり,そのためには,いつも疑問を持つ態度と判断するために必要となる知識を身につけることが必要であると私は考える。

 今年の学習工学セミナーでは,椙山女学園大学の亀井美穗子先生に,主に小学校でのプログラミング教育について,お話しいただく。新たに導入されたプログラミング教育を中心に,情報教育について,先生方と一緒に「問い」を立てながら考えたい。                                               
 学習工学研究会会長  金城学院大学国際情報学部教授 
                                長谷川 元洋

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