第49回 学習工学セミナー開催案内

     主題  ICTを活用した学びの創造W
            
 「木造校舎大全」という写真集があります。これは、角皆尚宏(つのがいたかひろ)という27歳の男性が日本中の木造校舎を撮影したものですが、角皆さんは小中の時代に不登校で家に引きこもり、最後には死ぬことばかり考えていたそうです。そんな角皆さんに、木造校舎の写真を撮ることを勧めてくれたのは父親で、自家用車やレンタカーであちこちの木造校舎に連れていってくれたそうです。角皆さんは高校に行かず、日本中の木造校舎の写真を撮り続け、1200校以上の写真を撮ってきて、もうすぐ全てを撮り終えてしまうとのことです。
 角皆さんにとって、木造校舎の写真を撮ることは、不登校だった自分と向き合い、その意味を探ることでした。そして角皆さんのその作業に用いられた重要なテクノロジーがあります。それはカメラです。角皆さんは、カメラを通して木造校舎と向き合い、その木造校舎の向こうに、不登校だった自分を見つめてきたのではないでしょうか。だとすればカメラは、木造校舎の写真を撮るだけのメディアではなく、自分を見つめるメディアでもあったのかもしれません。今日のデジタルカメラは、その撮影データをパソコンを使って操作し、プリンタで出力しますので、ICTに含めることができます。カメラは、角皆さんにとって、大切なものを見つめるためのICTなのだと思います。
 さて、今年のご講演は亀井美穂子先生ですが、セミナー全体会講師として女性の先生をお招きするのは初めてかもしれません。地元でご活躍なさっている先生として、亀井先生にはこれからもいろいろご指導頂けるものと期待しております。今年もセミナーの一日、ぜひご一緒に、さまざまなことを考えたいと思います。 


             学習工学研究会会長 大谷 尚
             名古屋大学大学院教授・高大接続研究センター長
             元名古屋大学教育学部附属中・高等学校校長

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